2017.11.28

モデル・高須みほが心穏やかでいられる街、久屋大通

モデル 高須みほ

TEXT:SAYAKA OSHIMA / PHOTO:MASAYA UMEMURA

久屋大通駅近辺は、栄の賑わいを引き継ぎながらも、緑に溢れ、どこか落ち着いた雰囲気を醸し出しています。今回この街を案内してくれるのは、モデルとして数々の広告・雑誌で活躍する高須みほさん。「私を癒してくれるお店がいっぱい」と高須さんが話す、この街の魅力をたどります。

フラワーノリタケ

久屋エリアに圧倒的な存在感を放つ花屋

最初に案内してくれたのは、久屋大通駅やテレビ塔からほど近い『フラワーノリタケ』。
「20代前半の頃、意を決し、初めてお店に入ったのを覚えています」と彼女が言うのにも納得。緑に包まれた店の入り口は世界観が溢れ、明らかに異彩を放っています。取材スタッフ一同、ドキドキしながらお店に足を踏み入れると、そこには数々の観葉植物や珍しい花々が所狭しと並ぶ独創的な空間が…。
「なんだか物語の中みたいですよね」と美しい花々につい、ため息がこぼれる高須さん。

ガーベラでも変わった色味のものを仕入れるなど、どんなものにも“ノリタケらしさ”が宿っています

「ここにあるお花や葉ものって、見たことがないものが多くて。どれも個性的で、シックで大人っぽいものばかりです。花束もかっこよく仕上げてくれるので、男性に花をプレゼントするなら絶対ここと決めています」
彼女が話す通り、毎朝社長自ら市場へ出向き、状態がよく、他では見かけない珍しい花や葉物を中心に仕入れているそう。いつ足を運んでも、「こんな花あるんだ!」と驚きと発見のあるお店なのです。

  • お店の人の話に何度も「へ~!」という驚きの声をあげる高須さん。花の知識も広がりそうです
  • 入り口付近には観葉植物、奥には切り花や葉物が。植物の個性がお店を形作っているようです

この日高須さんが選んだのは、華奢でかわいらしい白とピンクのクレマチス。「お店の方に、クレマチスは今の時期が終盤と教えてもらって。今だけしか楽しめない美しさ。素敵ですよね」とにっこり。お店を出てからも、「癒された~」とフラワーノリタケの世界観に包まれていました。自宅には生花を絶やさないようにしているという彼女。季節の美しさを愛でる習慣、見習いたいものです。

シェ・シバタ ブロッサ店

思い出の味は、今や世界の味に!

続いて案内してくれたのは、フラワーノリタケの向かいにある『シェ・シバタ ブロッサ店』。 『シェ・シバタ』といえば、名古屋の有名パティスリーとして、その名が一番にあがるほどの人気店。そんな同店が最初に店を構えたのが高須さんの生まれ故郷である、岐阜県多治見市です。 「今はもう知らない人はいないくらい有名ですよね。でも多治見出身の私にとってはすごく身近な存在。誕生日といったら『シェ・シバタ』のフルーツタルトでした」と懐かしそうに語ります。

高須さんの思い出の味を求めて。実は国内4店舗はすべて東海圏という地元に根ざしたお店です

ショーケースには見た目も美しいスイーツの数々がずらり。スイーツって、どうしてこうも心をときめかせてくれるのでしょうか…。「これ!これがおいしいですよ!」と興奮気味に高須さんが教えてくれたのが、エスプレッソや抹茶といった様々な種類があるショコラ「ニューヨーカー」。大粒のペカンナッツをローストし、ダークチョコレートでコーティング、種類ごとにアクセントを加えた一品です。
ブロッサ店は、テイクアウト専門。場所柄ビジネス客も多く、生菓子だけでなく、焼き菓子も豊富に取り揃えています。
「渡す人のことを想い浮かべて選ぶのも楽しいですよね。でも今日は自分のものを買っちゃいます!」と思い出のフルーツタルトとお気に入りのニューヨーカーを購入。「見ているだけでわくわくするのですが、『シェ・シバタ』の魅力は味わってこそわかります!」とご機嫌でお店を後にしたのでした。

  • 「どれもおいしそう…」とショーケースをのぞく高須さん。アート性も感じる美しいスイーツに、自然と心が躍ります
    旬の果物がたっぷりのったフルーツタルトは、高須さんの思い出の味

これからの変化が楽しみな憩いの場

久屋と聞いて思い浮かぶのが久屋大通公園の風景。100m道路「久屋大通」の中央帯を利用し、栄から南北に広がった約2㎞にもおよぶ公園です。豊かな自然に、名古屋の中心地であることを忘れてしまいそう…。のんびり散歩していると、「この辺りを歩く人って、なんだかおしゃれに見えるんですよね~」と高須さん。それは、都会の喧騒の中でも、ゆとりの時間をちゃんと満喫している…からかもしれませんね。
そんな久屋大通公園、実は再生計画が進められていることをご存知でしょうか。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに新たにレストラン、ショップなどが整備され、さらに魅力ある公園になる予定。変化をとげて、多くの人々で賑わう姿が今から楽しみです。

吉田屋

お手頃価格なのに、選ぶ楽しみを満喫できる酒屋

久屋エリアを紹介するにあたって、高須さんから「ちょっと離れたところでもいいですか?15分くらい歩きますけど、おすすめがあって…」と提案が。ぜひ紹介したいと教えてくれたのが、今年創業100周年を迎えた酒屋『吉田屋』です。高須さんが太鼓判を押すとだけあって、スタッフは全員わくわくした気持ちでお店へ。駅からは少し離れていますが、散歩気分で歩けば「意外と近い!」という印象です。

「普通、下に置いてあるのだけ安くて、棚に置いてあるのは高くて手がでないお店が多いのですが、ここは違うんですよね~」と嬉しそう。もちろん一角には、憧れの高級ワインもありますけどね(笑)

『吉田屋』は、日本酒や焼酎、ワインや洋酒が1万点以上並ぶ老舗酒屋。「私は主に、家で飲むワインを買いにきます。こういうお酒専門店ってお値段が高い印象があるかもしれませんが、ほら!見てください」と高須さんが指さした棚のワインを見ると、1000円~2000円の商品がずらり。これにはお酒好きスタッフも大興奮です!「たくさん種類があるので、お店の方に好みを伝えておすすめを教えてもらうこともよくあります」。現在の店主は4代目。若い頃に本場フランスでワインを勉強したという経験を活かし、ワインや洋酒を取り扱うことになったのだとか。世界のワイナリー、国内の酒蔵へ直接足を運び、厳選した珍しいお酒を仕入れています。

  • おしゃれなパッケージをあれこれ見るのも楽しそうです。

「外食も楽しいけれど、最近は家でのんびりしたいなぁという気持ちも高まって。ここで買ったお酒を自分のペースでゆっくり味わっています」。お花を買って、スイーツを買って、そしてお酒を買って…確かに高須さんは、家での時間を楽しむために、久屋を満喫しているかのようです。

人も猫も、歴史を感じる建物に自然と集う

『吉田屋』から歩いてすぐの場所にある『名古屋市市政資料館』。赤レンガで造られた外壁、ステンドグラスが残る中央階段などネオバロック様式の建物に、高須さんも「レトロでおしゃれですね~」。1922年に建築され、1979年まで裁判所として使われた建物だそうで、現在は資料館として無料で開放。11室ある常設展示室では、建物・市政・司法の歴史などに触れられます。建物の周りにはベンチが点在し、天気がよい日は、同僚とお弁当を味わう人、一人でお茶する人、ペットと散歩を楽しむ人…とここで過ごす時間をみな満喫しています。そして気になるのはたくさんの猫、猫、猫…!人だけでなく、猫ものんびりしようと集まってくる場所のようです。

ヴァンサンヌ・ドゥ

おいしい珈琲と寛ぎの空間で、ほっとさせてくれる場所

様々なお店を紹介してくれた久屋ツアーもこれで最後…。「いろいろ歩き回って疲れたまさに今、ぴったりですよ」と話しながら、高須さんは大津通沿いのビルの地下へと足を進めます。地下1階にひっそりとお店を構えるのが、喫茶店『ヴァンサンヌ・ドゥ』です。

扉をあけて奥へと入っていくと、あたたかなオレンジ色の光に包まれた、バーのような空間が出迎えてくれます。「アンダーグラウンドの雰囲気とカウンターのある空間がバーっぽいですけど、実は珈琲がとにかくおいしい喫茶店です」と椅子にこしかけ、一息つく高須さん。
『ヴァンサンヌ・ドゥ』の珈琲は、珈琲豆を2年ねかせた「オールドビーンズ」を使用。ネルドリップ方式で淹れ、雑味のないクリアな味に仕上げています。苦みを抑えた「レジェ・ブレンド」と深い苦みのある「ニレ・ブレンド」の2種類があり、高須さんは迷いなく「ニレ・ブレンド」をオーダー。「いつもニレ。深いコクのある、しっかりめの珈琲です」

「酸味が苦手で、しっかりめの味が好きです」と話す高須さんお気に入りのニレ・ブレンド。

家で珈琲を淹れることもあるという高須さんですが、やはりお店の味は別格のよう。
「友だちと一緒に来ることも多いのですが、仕事帰りや買い物帰りに一息つきたくって一人で立ち寄ることがほとんどかな。非日常な空間で、現実逃避ができるんですよね~」と高須さん、すっかりリラックスモードに…。どうやらここは高須さんにとって、オフの時間へと切りかえてくれる場所のようです。「おいしいコーヒーに癒しの空間。もういつまででもいたくなる!」と笑います。

  • 奥深い珈琲の世界。集中して珈琲を淹れる仕草は、美しさを感じます

緑豊かな街並みに、素敵なショップが立ち並ぶ久屋大通。穏やかさも華やかさも併せ持つこの街は、モデルとして活躍しながらも、落ち着いた暮らしを慈しむ高須さんとどこか似た雰囲気を感じました。取材させていただいたお店の皆さんが、それぞれの道を究め続け、記事に書ききれないほど興味深いお話をたくさん聞かせてくれたことも印象的です。久屋大通の奥深い魅力は、この街を愛する人たちによって創り出されているのかもしれません。

PROFILE

案内人Miho Takasu

セントラルジャパンに所属し、名古屋を中心にモデルとしてテレビや広告などで活躍。忙しい日々を送りながらも、「家での時間も大切にしたい」「歩いてでかけることも多い」「必ず自宅に花を飾っている」とゆとりある暮らしを大切にしている。趣味はピアノ、特技はテニスとインドアからアウトドアまで幅広く楽しむタイプ。岐阜県多治見市出身、現在は名古屋市内在住。1989年生まれ。

ライターSayaka Oshima

東海三県を中心に活動するフリーランスのライター&プランナー。伊勢生まれ・三河育ち、名古屋に来て10年以上。名古屋のおすすめスポットは徳川園と布池教会。不動産関係の広告に携わることが多いため、街歩きの際はついマンションをチェックしてしまう。

カメラマンMasaya Umemura

http://umemuramasaya.com/

1978年 愛知県出身
2004年 写真家 鈴鹿芳康氏に師事
2006年 京都いろは出版にて写真局を設立
2014年 梅村昌哉写真事務所を設立

国内外にてロケ、スタジオワーク、ドキュメンタリー、フォトディレクションと写真全般に携わる。
2004年 「キャノン写真新世紀」佳作受賞
2013年 「全国カタログ・ポスター展」特別賞受賞

好きななごやめしは「台湾ラーメン」